デザイナーブランドの代表格は、オンワード樫山に育てられ、現在もオンワードの援助を受けているジャン・ポール・ゴルティエである。
彼は、一九七〇年代の終わりに、パリのサン"ジェルマン・デ・プレ教会の向かい側に「バス・ストップ」というオンワード樫山が構えた店でデビューした。
また日本人では、ワールドに雇われ、援助を受けているキクチ・タケオやジン・アベなどがいる。
これらのデザイナーは、企業に援助を受け、雇われている点では、企業デザイナーと変わりないが、仕事の内容が大きく異なっている。
シーズンごとにショーをし、自作のコレクションを発表することで、デザイナー自身の個性を売っている。
そしてその個性が流行するか流行しないか、つまりトレンドを作るか作らないかによって売り上げに大きく影響してくる。
企業に雇われているデザイナーブランドのデザイナーは、オーナーデザイナーに比べ、企業がついているため経営の心配をすることなく、しっかりした物作りができることになる。
売れるものはどんどん店舗数を広げ、売れないものは徹底的にマーチャンダイジングし、売れるものが作れるようにしていく。
このようにデザイナーブランドであるが、百パーセント自己資金で経営しているデザイナーに比べ、完全に企業に管理されているのである。