多くの月日をかけ、たくさんの人たちのエネルギーが作り上げた服は、メーカーの手を離れ、商品となって、本当の意味での生命を与えてくれる消費者と出会うために店頭に並べられ、購入される時を待つ。
服は最初から最後まで同じ状態、同じ価格であるわけではない。
店頭に並べられて、ある時期が過ぎても、消費者と出会うことのない服は、売れ残り品(在庫)となり、新たな形のビジネスの道をたどるのである。
メーカーが最初に決めた希望価格を正価(プロパー)という。
売れ残って在庫になった商品は、在庫品とかバーゲン品といい、値引きして売られる。
バーゲン価格の登場である。
服の生命をたどると、次のような順番でビジネスが行われることが一般的である。
店頭(正価)販売→社内販売→ファミリーセール・顧客セール→店頭セール(バーゲンセール)
自分の作った服が店頭において正価で売られ、その服を着て街を歩く消費者の姿を見て、デザイナーは新たな創作意欲にかられる。
正価で売られているかぎりでは、デザイナーの最初に考えたイメージがくずされることなくファッションビジネスが行われている。
しかし、シーズンが過ぎ、売れ残り、在庫となった商品は、デザイナーの最初の考え方はもちろんのこと、手塩にかけて作り上げた服の扱い方も、正価の時とは異なってくる。